メニューを決めるのも同じなんだと感じた話

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あなたの最も伝えたいことは何?

あるバラエティ番組を観ていた。

その内容は、とあるチェーン店こだわりの料理を有名料理人が品定めをするというもの。料理に対する開発秘話で感心したり、社員・幹部一同、判定の瞬間に固唾を飲み込むシーンにドキドキしてしまうのが魅力的な番組だ。

その中でも、印象深い回があった。

あるファミリーレストランが登場した回だった。新商品として、黒酢とエビのサンラータンメンを披露した時の場面。開発責任者は、さっぱりとした食感を目指し、味の変化を楽しめるように穀物酢も用意した(黒酢が苦手な人に向けた配慮でもある)。

料理人の評価は割れた。味の斬新さを称える者。黒酢と穀物酢のどちらのお酢が合うかで見解を述べる者。双方ともお酢が論点となっていた。

中でも感銘を受けたのがあった。

「ネーミングのつけ方が悪い!」

それまでの流れとは大きく違った。ネーミングがダメとはいったい?その料理人はこう解説した。

  1. エビと名付けながら、申し訳程度
  2. 黒酢とありながら、別添えがなぜ穀物酢

1.エビをメニュー表に加えるのならば、なぜソースや風味で主張しないのか。エビを2,3尾ほど入れておくだけでは中途半端である。

2.黒酢というネーミングを出すのなら、別添えは穀物酢ではなく、黒酢に統一すべきだ。

その料理人はこう付け加えた。

「麺なら麺。スープならスープ。酸辣湯なら酸辣湯。どれを主張したいのか。」

開発責任者は、ショックを受けながらも、大きく頷いていた。

私も大きくうなづいた。なぜなら、メニューの決め方にとどまらず、伝える技術の本質に他ならないからだ。

もう一度、料理人が指摘したポイントを振り返ってみよう。

  1. エビが風味になっていない
  2. 黒酢の位置づけ
  3. ちぐはぐで主張が不明瞭

新メニューは黒酢とエビの酸辣湯麺(さんらーたんめん)である。このメニューから想像することはなんだろうか。どんぶりから溢れるエビの香りである。だが、どんぶりにあるのは添え付けられたエビ。

黒酢も同じである。メニューには黒酢とありながら、別添えで穀物酢が置かれていた。メニューの主張と置かれている料理がかみ合っていない。

結果、麺・スープ・酸辣湯のどれを主張したいのかわからない料理になってしまった。

この失敗から学べる事

メニューをタイトル、エビ・黒酢を本文に置き換えても、指摘の正しさがよくわかる。

主張したいことをタイトルに含めるならば、本文においても重点に置かなければならない。本文でも伝えたいことを統一することで、わかりやすく、すっきりとした印象をあたえることができる。

さて、あなたも同じ失敗をおかしていないだろうか。タイトルだけ突っ走ったり、本文があやふやになっていないだろうか。

お客さんが満足していく顔を思い浮かべながら、そして「また、来るよ!」の声を待ちながら。

あなたが提供したい一杯は、お客さんのこころに届いていますか?

ではまた。